カミーユ・ピサロ
Jacob Camille Pissarro/1830-1903

後輩画家にも慕われたフランス印象派の画家

19世紀フランスの印象派における最年長者として活躍したカミーユ・ピサロ(Jacob Camille Pissarro/1830-1903)。温厚な性格でゴッホやセザンヌらの後輩画家達に慕われていたという。

印象派画家としては、1874年から1886年まで計8回開催されたの印象派展にすべて作品を出品しており、最後まで欠かさず参加したのは印象派の中でもカミーユ・ピサロのみであった。

作風としては、初期は豊かな色彩に大胆な筆致を残した農村風景画を数多く描いていたが、50代に入ると人物画に力を入れ始め、点描表現を取り入れた新印象主義の技法を試すなど試行錯誤を繰り返しながら、生涯で1,300点を超える油彩画を残した。

ピサロの有名な作品・代表作としては、「エラニーの干草収穫」、「帽子を被った農家の若い娘」、「エルミタージュの丘」、「オペラ座通り テアトル・フランセ広場」、「モンマルトル大通り」などがよく紹介される。

ちなみに右上の絵画は、ピサロ本人による自画像(1903年)。テート・ギャラリー(ロンドン)所蔵。

エラニーの干草収穫

「エラニーの干草収穫」 1901 カナダ・ナショナルギャラリー

ピサロは干し草を取り入れる農家の女性らを描いた絵画作品を数多く残しており、この作品の他にも1892年から1893年にかけて、パリから北西に30kmほどのエラニーで同じ題材の絵画を数点残している。

帽子を被った農家の若い娘

「帽子を被った農家の若い娘」 1881 油彩・画布 ワシントン・ナショナル・ギャラリー

農民の姿はピサロがよく取り上げる題材の一つで、本作は第七回印象派展(1882年)に出品された。木陰に腰を下ろす麦藁帽子の娘は穏やかな表情を浮かべ、背景の草木や樹木も青々と茂り生命力に満ち溢れている。

エルミタージュの丘

「エルミタージュの丘、ポントワース」 1867 グッゲンハイム美術館

パリから北西へ30kmほどの都市ポントワーズ(Pontoise)。「エラニー」から北へ数キロの距離にある。1860年代には印象派の画家らが集まり、ポール・セザンヌ、ゴッホなども同地で制作を行い、カミーユ・ピサロは17年間も住んでいた。

オペラ座通り テアトル・フランセ広場

「オペラ座通り テアトル・フランセ広場」 1898 ランス美術館

1897年からピサロが借りていたホテルの一室から見えるテアトル・フランセ広場、オペラ座通り、パレ・ロワイヤル広場を描いた作品。本作以外にもこの広場を描いた作品は8点ほど存在する。

モンマルトル大通り

「モンマルトル大通り 冬の朝」 1897 メトロポリタン美術館

ピサロ晩年の作品。ほぼ同じ構図で、曇った朝や夜を描いた作品も存在する。

ちなみに当時のモンマルトルには、貧乏な画家達が集まって暮らしたアパート「洗濯船(Le Bateau-Lavoir)」があり、1904年から1909年までパブロ・ピカソが恋人のフェルナンド・オリビエと暮らしていた。

関連ページ

世界の有名な絵画・画家 作品の解説
ゴッホ、ピカソ、ルーベンス、フェルメールなど、世界的に有名な画家による絵画・美術作品の解説