青の時代(ピカソ)

困窮するピカソが青い色彩の中で描いた社会的弱者の姿とは?

1900年10月、19歳になったピカソは親元を離れ、友人のカサジェマス(カサヘマス)やパリャーレスらとともに初めてパリを訪れた。

この時期から、4年後の1903年にモンマルトルの「洗濯船」にアトリエを構えるまでの間には、青い色彩に特徴づけられた作品が数多く生まれた。いわゆるピカソ「青の時代」である。

<右画像:ピカソ「人生 La Vie」 1903年>

貧しい者・弱い者への共感

「青の時代」におけるピカソの絵画作品には、「盲人の食事」、「悲劇(海辺の貧しい家族)」、「老いたギター弾き」、「酒場の2人の女(酒場の娼婦達」など、貧しい者・社会的弱者に共感を寄せるモチーフが一つの傾向として数多く残されている。

この点、東京美術「もっと知りたいピカソ 生涯と作品」の解説では、ピカソ「青の時代」の作品傾向について次のように論評している。

「青の時代の作品は物乞いや売春婦、社会の底辺に押し込められた弱者たちに向けた視線を感傷的に描き出す。ピカソが自らの貧困を重ね合わせながら、人生の悲哀や絶望の中でも失われない尊厳を描き出した作品は、鑑賞者の共感を呼ばずにはいられない。」

自己の内部で渦巻いている何か

また、青い色彩で画面全体が陰鬱な雰囲気を湛える「青の時代」について、中央公論社「カンヴァス世界の名画 ピカソ」では次のように解説している。

「『青の時代』全体を支配するこの暗い抒情性を、青年期特有の感情の発露と捉えることは易しい。そして、たしかにそのような面があることは疑いないだろう。人は誰しも、特に鋭敏な感受性に恵まれていればいるほど、若い時に一度は人間の生き方について深刻な悩みを体験するものである。
・・・しかし、『青の時代』がピカソに対して持っていた意味は、おそらくそれだけではない。・・・この時代は、彼がそれまでに習得した技術によって自己の内部で渦巻いている何かを表現できるかといういわば実験の場であった。」

青の時代におけるピカソの代表作・有名な作品

老いたギター弾き 1903年

悲劇(海辺の貧しい家族) 1903年

人生 La Vie 1903年